32.色覚異常の実態
○ あまり知られていない色覚異常。その割合は男子20人に一人、女子は5千人に一人の確率で存在する。男女共学の一学級40人として、男子は一人いる計算になる。仮に1千万人口の都市の場合、その半分が男子とすると、25万人の色覚異常の男子がいることになる。
○ 大抵は小学校や中学校の検査で判明し、眼科医で第一色覚異常とか第二色覚異常と診断される。色覚異常と診断された子どもの進路は非常に狭まれ、希望する進路へ進めないことも多い。
○ 色覚異常者のための進路の手引きという冊子が、文部科学省から各学校に配布されており、その冊子を基に、養護教諭が年度初めに職員会等で、色覚異常者のために適切な指導の心得を伝える義務になっている。しかし、現実はどうであろうか。
○ 色覚異常とは、色を適確に識別できない状態のことを意味する。赤や青、黄色の特定の原色は識別できるので運転免許は取れるようだ。しかし、暗い場所では色の判別はしづらく、全く異なる色に見えたりする。
○ 学校の先生達は色覚異常を持つ児童生徒のために、黒板にチョークを使う時、黄や赤のチョークは筆圧を強くして濃い目に書かなければならない。何故なら、彼らは全く別な色に見えたりするからである。緑や茶の色は全く色の区別がつかないため、できるだけ使わないほうが望ましい。
私が教員の時、職員会議でそういうことを述べると、「そんなことをいちいち気にしていたら授業は出来ないよ」と発言される先生がいた。はたしてそれでよいのだろうか。
○ 色の微妙な変化を観察する理科、色彩に大いに関係する図画工作や美術の授業担当者は特に配慮しなければならない。本当に子ども一人一人を大切にする学校教育を目指しているならば。